Monday, August 7, 2017

子ブタとオオカミ


ある日腹をすかしたオオカミが獲物を探しに森を歩いていると子ブタ一匹が木の下でやすんでいた。少し汚く痩せこけていてうまそうではなかったが、腹の足しにはなると思って近づいて行って、

<おい>と声をかけた。

子ブタは驚いたが逃げ出さず<オオカミさん、どうしました?>と言った。

オオカミは言った。<ほかでもない、わしは腹がすいているのでお前をたべようと思っているのだ。>

子ブタは言った。<でもオオカミさん、わたしどもブタは体が汚いのが常で、洗ってから食べたほうがいいと思いますよ。幸い近くにきれいな小川が流れているので、体を洗って戻ってきましょう>と言った。

オオカミは言った。<そのきれいな小川ならわしも知っている。ここから遠くはない。早く行って体を洗ってすぐ戻って来い。>

子ブタはまもなくきれいな体になって戻どってきた。

オオカミは言った。<おお戻って来たか。それではさっそく食べることしよう。>

子ブタは言った。<でもオオカミさん. . . . .>

オオカミは言った。<でも、なんだ?>

子ブタは言った。<でも、体はきれいになりましたが、ブタとしてはやせていてきっとおいしくありません。>

オオカミは言った。<ううん、そう言われてみると子ブタにしてはやせているな。ちっともうまそうじゃない。>

子ブタは言った。<私の飼い主は近くの農家で私にたくさん餌を用意してあるので、いっぱい食べて太ってから戻ってきましょう。>

子ブタはまもなく丸々ふとった体になって戻どってきた。

オオカミは言った。<おお戻って来たか。なるほど今度はうまそうに太っているな。それではさっそく食べることしよう。>

子ブタは言った。<でもオオカミさん>。

オオカミは言った。<何だまた "でも" か? でも、何だ?>

子ブタは言った。<でも、体は丸々太ってきましたが、このところ体じゅうがこっていて、肉が硬くておいしくないと思います。硬い肉をすこしマッサージして、ほぐして柔らかくしてから食べたほうがおいしいと思いますよ。オオカミさん、すこしマッサージしてくれませんか?>

オオカミは言った。<いろいろやっかいだな。だがお前の言うことももっともだ。すこしマッサージしてやろう。>といって子ぶたの体のマッサージを始めた。

子ブタは言った。<オオカミさん、マッサージがとても上手ですね。こった体がほぐれてきました。とても気もちがいいです。そこそこ、そこです。そこが特にこっているので、もっと力を入れてもんでくれませんか?>

オオカミは子ブタが行ったところを力を入れてもみ続けたが、力尽きて気絶し、その場に倒れてしまった。


-中国之声(Voice of China)、小喇叭 (子供向けラジオ番組)から。録音したものを何度きいてもわからない箇所がいくつかあるので、適当に変えてある。

sptt

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