Tuesday, December 5, 2017
幸運、不運
悪しきことの来る歩みは速く、去る歩みは遅い。とどまること長し。
良きことの来る歩みは遅く、去る歩みは速い。とどまること短し。
幸運、不運は前(まえ)ぶれなく、どこからともなく、やってくる、出てくる、落ちてくる。
sptt
時間
時間ほど公平なヤツはいない。
気前がいいのでもなければケチでもない。
だれかれ分けへだてなくだれにも一日に24時間をくれてやる。
だが時間はときに速く、ときにのろく進む。
速いと追いつかないが、のろくても追い抜けない。
時間ほど無関心なヤツはいない。
悪人が悪いことをしようと、善人が良いことをしようと関心がないのだ。
すべて皆(みな)なるようにならせるだけだ。
時間は過去に未練なく、未来にも関心がない。
関心があるのは今だけだ。だが<今>とは何だ?まったく時間>ほど不思議なヤツはいない。
sptt
Friday, August 25, 2017
虎の威を借る(狐假虎威)
日本語では<虎の威を借る>だが、これではだれが<虎の威を借る>が不明だが、ことわざしては十分でむしろ一般化が進んでいる。本家の中国では<狐假虎威>で狐(きつね)が<虎の威を假る>。<借りる>のではなく<假(仮)る>だ。<假(仮)る>は<仮の姿をする、仮装する>とでもなろうが<真似(まね)る、装(よそお)う>でもいいが、狐假虎威の内容は<虎の威を借る>の方がむしろ近く<虎の威を借る>は苦心の末の訳ではないか。漢文の教科書にでていなかったのか、学習をさぼったのか、はたまた記憶に残らなかったのか、私は勝手に解釈して<虎の衣を借る>で、だれかが虎の毛皮をぶって虎になりすまして<虎の威を装おう>と解釈していた。これだと、気がつかなかったが<衣>と<威>は掛詞(かけことば)になる。いずれにしてもいい加減な解釈で理解していた。だが、幸い故事ことわざの趣旨としては大方(おおかた)正しい。
原文(中国語版wiki) 戦国策から
虎求百獸而食之,得狐。狐曰:「子無敢食我也!天帝使我長百獸。今子食我,是逆天帝之命也。子以我為不信,吾為子先行,子隨我後,觀百獸之見我而敢不走乎?」虎以為然,故遂與之行。獸見之皆走。虎不知獸畏己而走也,以為畏狐也。
原文はきわめて短く、簡潔でいいが子供向け童話としてはそっけなさすぎる。中国之声(Voice
of
China)、小喇叭 (子供向けラジオ番組)で子供向け童話として、大幅に付け加えて、虎と狐の会話に組み立てなおした話の放送があり、おもしろく翻案されている。下記はその翻案のわたしの日本語訳。ただし録音したものを何度聞いてもわからない箇所がいくつあるので、私なりに適当に変えてあるが翻案というほどではない。
-狐假虎威
(虎の威を借る)-
昔むかし森の中で腹をすかしたトラが獲物をさがしながら歩いていた。
突然狐が一匹木々の間から出てきた。さっそくとらえて食べようと近づいて行った。この狐、虎には気づいたが、なぜか敢えて逃げようとはしなかった。話し巧(たく)みな狐は虎が近づいてくるとその鼻先でこう言った。
<虎さん、虎さん、そう慌(あわ)てなさんな。わしが誰かを知って食べようとするのか?わしは天帝が遣わした百獣の王だ。もしわしをとらえて食べるようなことがあれば、天帝がお前に一番きびしい天罰を加えることになる。それでもいいのかい?>
虎は狐が言うことには半信半疑で少し考えた。元来わしが森の百獣の王だ。森の動物どもはみなわしを見ると恐れてすぐ逃げ出す。一声吠えればその場に立ちすくんでしまう。だが、この狐、虎のわしを前にしても少しも動じないばかりかゆったりとした所作で威風さえあるところを見ると、もしかして、天帝が遣わした百獣の王かも知れんな。だが
......
嘘っぱちかもしれん。まだためらっているようだった。
そこで狐は言った。<どうも私のいうことを疑っているようだが? それならば証拠を見せよう。わしが証信証明の天帝が遣わした百獣の王という証拠を見てから判断したらどうか?森の動物どもはみなわしを見ただけ恐れてすぐ逃げ出すのだ。わたしの後からついて森をひと歩きして自分の目で確かめるのがいい。>といって歩き出した。
虎がまだ戸惑ってぐずぐずしていると狐はいった。<虎さん、どうしました? 早くわしについてきたらどうか?何か不安なことでもあるかな?後からついてわしを見ていればくればわしが逃げ出すことはできまい。>
虎は答えた。<何、なにも不安なことなどない。ただおまえの後からついて行けばいいのだろ。>
狐がふたたび歩き始め、虎もそのあとについて森の中を歩きだした。狐は威風堂々とゆっくり歩き、一方虎は小心翼々のていで狐のあとからついて行った。狐と虎が歩いていくと、シカやヤギやウサギやリスなどの森の小動物と次々と出会わせたが、みな虎を見るとすばやく遠くに逃げて行った。
しばらくして狐は虎に行った。
<虎さん、どうです? これでわかったろう。わしが証信証明の天帝が遣わした百獣の王ということが。>
(最後に教訓の簡単な説明があるが、なくもがななので省略)
子供向けラジオ番組の子供向け(小学中高生)童話だが、さすが中国で子供向けの話とはいえ漢文で出てきそうな四字成語がよく出てくる。四字成語がないと話がスムーズに進まないのだろう。
百獣之王
半信半疑
不知不覚
大模大様 (威風堂々と訳した)
小心翼々
もう少しあるようだ、残念ながらがわたしの耳では何度聞いても聞き取れない。
sptt
Monday, August 7, 2017
子ブタとオオカミ
ある日腹をすかしたオオカミが獲物を探しに森を歩いていると子ブタ一匹が木の下でやすんでいた。少し汚く痩せこけていてうまそうではなかったが、腹の足しにはなると思って近づいて行って、
<おい>と声をかけた。
子ブタは驚いたが逃げ出さず<オオカミさん、どうしました?>と言った。
オオカミは言った。<ほかでもない、わしは腹がすいているのでお前をたべようと思っているのだ。>
子ブタは言った。<でもオオカミさん、わたしどもブタは体が汚いのが常で、洗ってから食べたほうがいいと思いますよ。幸い近くにきれいな小川が流れているので、体を洗って戻ってきましょう>と言った。
オオカミは言った。<そのきれいな小川ならわしも知っている。ここから遠くはない。早く行って体を洗ってすぐ戻って来い。>
子ブタはまもなくきれいな体になって戻どってきた。
オオカミは言った。<おお戻って来たか。それではさっそく食べることしよう。>
子ブタは言った。<でもオオカミさん. . . . .>
オオカミは言った。<でも、なんだ?>
子ブタは言った。<でも、体はきれいになりましたが、ブタとしてはやせていてきっとおいしくありません。>
オオカミは言った。<ううん、そう言われてみると子ブタにしてはやせているな。ちっともうまそうじゃない。>
子ブタは言った。<私の飼い主は近くの農家で私にたくさん餌を用意してあるので、いっぱい食べて太ってから戻ってきましょう。>
子ブタはまもなく丸々ふとった体になって戻どってきた。
オオカミは言った。<おお戻って来たか。なるほど今度はうまそうに太っているな。それではさっそく食べることしよう。>
子ブタは言った。<でもオオカミさん>。
オオカミは言った。<何だまた "でも" か? でも、何だ?>
子ブタは言った。<でも、体は丸々太ってきましたが、このところ体じゅうがこっていて、肉が硬くておいしくないと思います。硬い肉をすこしマッサージして、ほぐして柔らかくしてから食べたほうがおいしいと思いますよ。オオカミさん、すこしマッサージしてくれませんか?>
オオカミは言った。<いろいろやっかいだな。だがお前の言うことももっともだ。すこしマッサージしてやろう。>といって子ぶたの体のマッサージを始めた。
子ブタは言った。<オオカミさん、マッサージがとても上手ですね。こった体がほぐれてきました。とても気もちがいいです。そこそこ、そこです。そこが特にこっているので、もっと力を入れてもんでくれませんか?>
オオカミは子ブタが行ったところを力を入れてもみ続けたが、力尽きて気絶し、その場に倒れてしまった。
-中国之声(Voice of China)、小喇叭 (子供向けラジオ番組)から。録音したものを何度きいてもわからない箇所がいくつかあるので、適当に変えてある。
sptt
Sunday, July 30, 2017
<不入虎穴,焉得虎子>の日本語版
不入虎穴,焉得虎子(虎穴に入らざれば(ずんば)虎子を得ず)の日本語版
美しき真珠は海の底にあり。もぐらざれば得られず。
難しきことする中に宝見つけること少なからず。
難儀するなかに宝物出づ。
せざれば、得られず。
いどまざれば、得られず。
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