Sunday, August 23, 2015

虫Aゴムホースの中に閉じ込められる


虫Aがあるしたことからゴム製のホースの中に閉じ込められてしまった。暗いが歩いてみた。左右はせりあがっているため進めないので、前後に歩いてみた。前も後ろも壁で行 き止まりで、外に出られそうもない。足元の床がゴムで、適度に滑り止めと弾みがあり、6本脚(あし)だが歩きやすい。実際足元だけでなく、壁も天井もゴム 製だ。もっともどこからどこまでが床、どこからどこまでが壁、どこからどこまでが天井というはっきりした区別はなく、床、壁、天井が角度なく同じゴムでつ ながっているのだ。

しばらく休んでいると、後ろの壁の方から<しゅっ、しゅっ>、<しゅっ、しゅっ>という音がして きた。この音はやすみなく続き、しばらくすると少し息苦しくなってきた。空気がやや重くなってきて、体のどこもかしこもが圧迫されている感じがしてきた。 <しゅっ、しゅっ>、<しゅっ、しゅっ>はさらに続いた。ほどなく床、壁、天井が広がっているのがわかった。ホースの中の空間が広がったせいか圧迫感はさ ほど強くならない。<しゅっ、しゅっ>、<しゅっ、しゅっ>で床、壁、天井はますます広がっていく。息苦さも続いた。天井の様子はよくわからないが、 床、壁は何となく薄く、たよりなくなってきたようだ。さらに<しゅっ、しゅっ>、<しゅっ、しゅっ>は続いた。床、壁、天井はますます広がっているが、薄 くなってきたようで、そとの明かりが感じられるようになった。さらに<しゅっ、しゅっ>、<しゅっ、しゅっ>は続いた。ホースの中の空間はますます広く なった。床も床らしくたいら気味になってきた。と思ったとき<パン>という大きな音がしたが、それと同時に壁だか天井だか区別ができないがゴムが一か所横に 破れていいた。息苦さもなくなった。横破れはさほど大きくはなかったが、虫Aが新鮮な空気を吸いに外に出るには十分だった。

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